ここは?
二俣橋は熊本県の山あい、緑川の支流にあたる釈迦院川と津留川。その二つの川が出会う場所に、まるで仲良く並ぶようにして佇む石橋です。
二俣橋
これがと呼ばれる二つの眼鏡橋です。
この橋の歴史は古く、江戸時代にまでさかのぼります。当時、旧砥用町方面から来た街道はこの川の合流地点で分岐し、一方は津留川に架かる橋を通って甲佐や熊本方面へ、もう一方は釈迦院川の橋を渡って堅志田や松橋方面へと続いていました。
この二つの橋は構造としてはそれぞれ独立していますが、橋の一端同士が非常に近くにあり、直角に曲がったかのような形で繋がっているように見えるのが特徴です。しかも、大きさや石材の組み方、アーチの形状などがほぼ同じであるため、まるでひとつの橋が折れ曲がっているかのような印象を与えます。
現在はまとめて「二俣橋」と総称されていますが、かつてはそれぞれに名前がありました。釈迦院川に架かる橋は「二俣渡(ふたまたわたり)」、津留川に架かる橋は「二俣福良渡(ふたまたふくらわたり)」と呼ばれていました。どちらも似た姿をしており、いわば双子のような存在です。
美しい石のアーチが静かに水面に映るこの場所は、今も昔も訪れる人の目を引きつける、不思議な魅力を放っています。
また、時間帯によっては橋の影が♡型に見えるという事でも有名です。
現在「二俣橋」は、美里町の重要文化財に指定されており、その歴史的な価値と美しい景観を求めて、多くの人々が足を運びます。訪れた人は、橋の構造美だけでなく、すぐ近くを走る国道218号線に架かるふたつの年祢橋(としねばし)も同時に目にすることができ、重なり合う歴史と現代の風景を楽しむことができます。
この地域を流れる釈迦院川と津留川は、いずれも透き通った清らかな流れを保ち、川が合流する地点には自然にできた白砂の河原が広がっています。この自然のたたずまいは、子どもたちが水とふれあい、自然の中で遊び学べる場所として評価され、国土交通省による「子どもの水辺」百選にも選定されています。
長い年月をかけてこの地に根を下ろしてきた二俣橋は、かつて人や物が行き交う交通の分岐点として地域の生活を支えてきました。そして今では、往時のにぎわいを静かに物語る史跡として、人びとの記憶とともに、これからもそっとその姿をたたえ続けていくことでしょう。
二俣橋の駐車場は?
橋のすぐ傍に無料で停められる駐車場があります。
二俣橋の場所
駐車場